花實雙美
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花が好きである。
若いころには物を食う金がなくとも花だけは買った。

心が満ち足りる。すなわち、幸福である。
生き別れ死に別れ、裏切られ傷つけられ、あるいは大切なものを捨てたり
壊したり、ぼろぼろの一年であったけれども、桜はわずか数日の花の命で
人の心を満たしてくれる。
すなわち、物や金や時のあるなしではなく、花の心を感じ取れなくなった人間こそが、
本当の不幸である。


このごろ、花に興味を示さぬ女性が多くなった。むろん男性においてをやである。
花の話題を持ち出してもちんぷんかんぷんで、何よりも花の名前を知らない。
私は花を賞でる心が情操と教養の基準だと考えているので、とたんにその人物が
信用できなくなる。

われわれの社会は、実を求めて花を忘れてしまった。
むろん花の美しさを忘れてしまえば、その実がうまかろうはずはないのだが。

私はけっして人間が作り出すことのできない花のかたちに、その色に、
その香りに、嫉妬しているのかもしれない。

(花実双美/浅田 次郎著)
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by baik2 | 2012-07-04 22:18 | ブログ | Comments(2)
Commented by asanomi33 at 2012-07-09 13:14
そのとおり!!
と、うなずいてしまいました。
日々、ちびのみに花の名前を教えております。
そしてたまにはテーブルに活けてます。
潤いのある生活を目指せば、精神も豊かになるような気がします。
Commented by baik2 at 2012-07-09 22:08
☆asanomi33さん、こんばんは。
 ↑は全文ではないのですが、この本を読み、ワタシも“そのとおり!!”、と
 膝を叩いてしまいました。

 ちびのみチャン、きっと素敵なレディに成長しますね!。

 ワタシは頭皮に潤いを与えれば、髪も豊かになるような気が・・・(^^;
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